シィカの言葉の宝石箱

大阪在住の女子大生。俳句や短歌などの詩歌が好きです。楽天ブックス「シィカのちょっと濡れる歌集」2021.5発売

ゲーテ 詩3


リーナに


懐かしいリーナよ、この歌の本が
いつかまたそなたの手に入ったら、
ピアノに向かってかけなさい、
過ぐる日そなたとならんで私の向かったピアノに。


まずピアノ早く打ちならして
それからこの本をごらんなさい。
読んではいけません!いつも歌うのです!
どこをあけてもそなたのための歌ばかり。


ああ、白い紙に黒い文字で書かれてみると、
この歌はなんと悲しげに私を見ることだろう。
そなたに歌われてこそ神に御声さながらともなり、
聞く人の心をむしるばかりに打つものを。