シィカの言葉の宝石箱

大阪在住の女子大生。俳句や短歌などの詩歌が好きです。楽天ブックス「シィカのちょっと濡れる歌集」2021.5発売

シェイクスピア 12

耳にたえなる楽の音よ、なぜ愁い顔で音楽を聞くのです。
美は美と争わず、歓びは歓びを楽しむもの。
なぜ、きみは楽しめもしないものを愛するのです。
また、いとわしいものを喜んで受け入れるのです。
結びつき、むつみあい、みごとな譜調を保つ
完璧な調和音が、その耳には不快に響くというなら、
この音はたえなる響きできみを叱っているのだ。きみは
ひとりだけ、自分が演ずるはずの役を無視するのだからね。
ひとつの弦がひとつの弦のやさしい夫となり、
たがいに調和しながら、おのおの響きあうさまを見てごらん。
まるで父と、子と、しあわせな母が、すべて一体となり、
ひとつの快いしらべをうたっているようではないか。
 多くの響きでありながら一つに聞こえる、この無言の歌が
 きみに言うのだ。「ひとりは無におわるよ」と。

 

 

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